臨床検査技師の勤務先は多岐にわたります。なかには検査センターで働く臨床検査技師もいます。

検査センターは、病院とは仕事内容や働き方が異なります。検査センターならではの特徴を理解して転職しなければなりません。

ここでは、臨床検査技師が検査センターの求人に転職するときのポイントについて解説します。

検査センターの働き方・勤務形態を理解する

まずは、検査センターで働く臨床検査技師の働き方・勤務形態について確認しましょう。

臨床検査技師の多くは、病院やクリニックなどの医療機関で働いています。医療機関と検査センターではどのような違いがあるのでしょうか。

担当する業務は検体検査だけで、特殊検査も行う

検査センターは、患者さんが来るわけではありません。そのため、生理検査を担当することはありません。

下に紹介する株式会社日本医学臨床検査研究所の求人では、一般検査から特殊検査までのあらゆる検査を担当することが紹介されています。そして、生理検査は実施していないことも記載されています。

図(NO1/仕事内容)

日本医学臨床検査研究所は、京都府に本社がある企業です。京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県などの関西地域を中心に検体検査を受注しています。

検査センターは、医療機関が自施設では実施できない検査を受注します。

患者の検体だけではなく、食品や環境の検査を実施している検査センターもある

検査センターが受注している検査は、医療機関からの患者さんの検体だけではありません。

例えば、下の求人は近畿予防医学研究所から出されている求人です。三重県四日市市の検査センターで働く人材を募集しています。

図(NO4/トップ)

この求人の仕事内容の欄は、以下の通りです。検体検査の内容が挙げられていますが、そのなかには「食品検査」と「環境検査」が含まれています。

図(NO4/仕事内容)

また、検査センターによっては、特定の検査項目に特化したところもあります。

次に紹介する株式会社BMLフード・サイエンスは、食品の検査・品質管理に特化した企業です。

図(NO3/仕事内容)

この求人で挙げられている仕事内容は、食品に関連した細菌検査、微生物検査、理化学検査のみです。血液検査や免疫検査は含まれません。

このように、患者さんの検体だけでなく、あらゆる検体の検査を実施しているのが検査センターです。

夜勤を担当することもある

検査センターは、医療機関から検査を受注します。午前と午後に検体を回収する場合は、午後の回収が終わって検査が始まるのは夕方から夜になります。

そのため、検査センターは24時間体制で検査を実施しています。つまり、夜勤を任させる可能性も十分あります。

最初に紹介した日本医学臨床検査研究所の求人では、勤務のパターンが以下のように示されています。

図(NO1/勤務時間)

医療機関によっては「明日の朝までに結果を出してほしい」と依頼をしてくることもあります。

そのような注文に対応するためにも、検査センターでは24時間体制で検査を実施しています。

臨床検査技師が検査センターで働くメリット・デメリット

では、検査センターで働くメリットはあるのでしょうか。医療機関で働く場合と比べてデメリットはあるのでしょうか。

幅広い検査の経験を積むことができる

 

福利厚生は一般企業と同じ

検査センターで働く場合は、医療機関以外の一般企業で働くのと同じ状況です。そのため、医療機関ならではの恩恵を受けることはできません。

医療機関で働く場合は、診察料や薬代は福利厚生で病院が負担してくれます。私は乾燥肌と花粉症のために冬から春先にかけて保湿剤と点鼻薬を毎年処方してもらっていました。

下の写真はそのときの調剤薬局での領収書です。この金額を100%病院が負担してくれていました。

図(写真/領収書)

また、子供が体調を崩したときにも、小児科の先生に気軽に相談できました。口頭で症状を伝えると、直接子供を病院に連れてこなくても薬を処方してくれました。

このような対応は検査センターではできません。

検査センターの求人に転職するときに求められる経験

検査センターの求人に応募するときにはどのような経験が求められるのでしょうか。

専門資格があればアピールポイントになる

検査センターでは、検体検査のスペシャリストとして働くことになります。そのため、生理検査に関する資格を活かすことはできません。

検体検査のなかでも、特定の検査に特化した資格があればアピールポイントになります。

例えば、前の章で紹介したエスアールエル社は、遺伝子ゲノム解析検査に注力している会社でした。ここから出されている求人では、以下のように細胞検査士、認定病理検査技師、遺伝子分析化学認定士が歓迎条件に挙げられています。

図(NO2/対象となる方)

細胞検査、病理検査、遺伝子検査を自前でやっているところは大病院くらいです。ほとんどの医療機関では外注に出します。

検査センターでは特殊検査を含めてあらゆる検査を受注します。そのため、さきほどの求人に挙げられているような専門に特化した資格をもっていれば強いアピールポイントになります。

検体検査未経験者でも応募できる求人は存在する

繰り返しになりますが、検査センターでは検体検査しか実施していません。では、これまでに検体検査の経験が全くない人は、検査センターの求人に応募することはできないのでしょうか。

実は、検体検査の経験がなくても応募できる求人は存在しています。

冒頭に紹介した日本医学臨床検査研究所の求人では、応募に必要なのは臨床検査技師の資格だけでした。検体検査の経験は歓迎条件です。

図(NO1/対象となる方)

 

まとめ

臨床検査技師が検査センターに転職したときの仕事内容、働き方について解説しました。

検査センターは、検体検査しか実施していません。その分、汎用の検査だけでなく、特殊検査まであらゆる検査を受注します。