ここでは、臨床検査技師が総合病院に転職して働くときの仕事内容、総合病院の特徴についてくわしく解説します。

なお、現在総合病院の明確な定義はありません。ここでは、多数の診療科を標榜している大病院を総合病院として紹介します。

総合病院で働く臨床検査技師の仕事内容の特徴

総合病院は、規模が大きい病院です。多くの臨床検査技師が働いており、クリニックや中小規模の病院とは働き方が変わります。

業務は細分化されている

総合病院で働く特徴の1つは、臨床検査技師の業務が細分化されていることです。

検体検査と生理検査は、ほとんどの病院で実施されています。総合病院の場合は、これらの業務がそれぞれの担当者に分担して行われています。

実際の求人例を2件紹介します。どちらの求人も埼玉県行田市からにある行田総合病院から出されている求人です。

1件目の求人は、検体検査を担当する求人です。

図(NO7/トップ)

この求人で挙げられている仕事内容は、以下の通りです。検体検査を担当する求人なので、検体検査しか挙げられていません。

図(NO7/仕事内容)

続いて2件目の求人は、生理検査を担当する求人です。

図(NO8/トップ)

この求人で挙げられている仕事内容は、以下の通りです。こちらの求人は、生理検査しか挙げられていません。

図(NO8/仕事内容)

私は、病床数1000床を超える県内最大規模の総合病院に心エコーの習得に行きました。そのときに、病院内の見学もさせてもらいました。

その病院では、エコーも撮影部位ごとにセクションが分かれていました。

総合病院で働くときには、検査内容ごとに担当が分かれます。

中小規模の病院では行っていない検査を担当できる

2つ目の特徴は、中小規模の病院では行っていない検査を自前で行っていることです。

検体検査のなかでも、CBCや尿検査はほとんどの病院が自前で行っています。検査の頻度が少ないものは、外注に出すことが一般的です。

例えば、下に紹介する神奈川県海老名市にある海老名総合病院は、病床数が400床を超える急性期病院です。

図(NO5/トップ)

この求人では、病理検査を専任で担当する技師を募集しています。具体的な仕事内容は、以下の通りです。

図(NO5/仕事内容)

病理検査は、中小規模の病院では外注に出すことがほとんどです。私が働いたことのある病床数80床の病院では、検査センターに外注していました。

また、次に紹介する求人では、仕事内容に細菌検査が挙げられています。

図(NO6/仕事内容)

このように、総合病院では、中小規模の病院では外注に出すような検査も自前で行うことがあります。

付属の施設で働くこともある

総合病院は、一般診療を行っているだけではありません。病院内にセンターを設置し、業務を分割しています。

そのため、病院内の検査室ではなく、付属のセンターから求人が出されることもあります。ここでは、健診センターと内視鏡センターから出されている求人例を紹介します。

・健診センターの求人例

下に紹介する求人は、前の項で紹介した総合東京病院の健診センターから出されている求人です。

図(NO3/トップ)

この求人の仕事内容は、以下の通りです。

図(NO3/仕事内容)

健診センターは、今現在病気を治療している人ではなく、基本的には健康で意思疎通がとれる人が来ます。

・内視鏡センターの求人例

続いて紹介するのは、内視鏡センターから出されている求人です。これは、東京都練馬区にある練馬総合病院の求人です。

図(NO1/トップ)

この求人で挙げられている業務は、基本的には内視鏡検査業務だけです。

図(NO1/仕事内容)

内視鏡検査業務とは、内視鏡検査の介助や、診断のための組織採取などです。

治験を実施している総合病院でCRC(治験コーディネーター)として働く

ここまで紹介した求人は、すべて臨床検査技師として検査業務に従事する求人でした。実は、臨床検査技師の資格があれば、総合病院で検査業務以外の仕事に従事することもできます。

続いて紹介するのは、検査業務ではなく、医薬品開発の臨床試験に関わる求人です。具体的には、CRC(治験コーディネーター)として働く求人です。

図(NO2/トップ)

この求人は、京都府宇治市にある宇治徳洲会病院から出されている求人です。そして、挙げられている仕事内容は、以下の通りです。

図(NO2/仕事内容)

医薬品の開発は、最終的に病院で患者さん(被験者)に使用して、有効性と安全性を試験する必要があります。この試験の運用を担当するのがCRCです。

医薬品の開発の臨床試験に関わるのは、製薬会社、被験者、病院の職員です。これらの人の間に入って、必要書類の準備をしたり、試験内容の説明をするのがCRCの仕事です。

CRCとして働くと、検査業務に従事することはありません。総合病院のように規模の大きい病院であれば、CRCの求人も出されます。

総合病院に転職するときの志望動機の書き方

それでは、総合病院の求人に応募するときの志望動機はどのように考えればよいのでしょうか。転職のときには必ず履歴書を提出する必要があるので、志望動機は考えておく必要があります。

図(写真/履歴書/志望動機欄)

最初の章で説明したように、総合病院では部門が細かく分かれていることが多いです。あなたが主に担当したい業務や強みがあれば、以下のような志望動機を書けばよいです。

現在の病院では、検体検査と生理検査の両方を担当しています。今後は、生理検査を主で担当したいと考え貴院を志望いたしました。

超音波検査士を取得していますが、現在の病院では業務の半分は検体検査で、資格を十分に活かし切れていません。貴院ではエコー検査を中心に生理検査で活躍できると考えています。

このように、あなたの強みと総合病院の特徴がマッチするような志望動機を考えるようにしましょう。

まとめ

ここでは、臨床検査技師が総合病院で働くときの仕事内容や、中小病院との違いについてくわしく解説しました。

総合病院では、中小規模の病院と違い、業務が細分化されています。そのため、幅広い業務を担当したい人ではなく、特定の業務を担当したい人が向いています。

検査の内容も、より専門性の高い項目が含まれます。中小規模の病院では外注に出すような検査も自前で行います。

また総合病院では、付属の施設から求人が出されることもあります。この場合は、病院本体とは仕事内容や働き方が変わります。

このような特徴を理解して、総合病院の求人に応募するようにしましょう。