あなたは「検体検査だけを担当」したいですか? それとも、「検体検査メインで生理検査も担当」したいですか?

検体検査は、どこの医療機関でも実施しています。しかし、その働き方は就職先ごとに大きく異なります。

ここでは、検体検査をメインで担当する求人の探し方、転職先ごとの働き方の違いについてくわしく解説します。

検体検査はほとんどの求人で仕事内容にあげられている

求人サイトなどで「検体検査」をキーワードにして求人を探すと、多くの求人がヒットします。しかし、それぞれの求人の仕事内容は大きく異なります。

就職先によっては検体検査だけを担当することも可能です。一方で、検体検査の割合はわずかで、ほとんどが生理検査や採血などの求人もあります。

ここから具体的な求人例を示しながら、就職先ごとの仕事内容の違いについて解説していきます。

検査センターは検体検査のみを担当する

最初に紹介するのは、検査センターの求人です。検査センターでは、医療機関からの検体を検査し、その結果を医療機関に返します。

下に紹介する株式会社日本医学臨床検査研究所は、京都府久世郡にある検査センターです。この求人では、検体検査業務を担当すること、生理機能検査は担当しないことが記載されています。

検査センターは、医療機関ではないので、患者さんが来ることはありません。そのため、患者さんに直接接して行う生理検査をすることはありません。

一方で、専門性の高い検査項目や、診療所や中小規模の病院では自前でやらないような検査項目も受注します。

例えば、私が働いていた病床数80床の病院では、薬物血中濃度測定はすべて検査センターに外注していました。下の写真は、外注のときに使用していた注文票です。

図(写真/注文票)

検査センターでは、検体検査のスペシャリストとして働くことになります。

規模の大きい病院は検体検査のみを担当する求人もある

続いて紹介するのは、大病院の求人です。

下に紹介する行田総合病院は、埼玉県行田市にある500床を超える地域の基幹病院です。

この求人の仕事内容の欄は、以下の通りです。検体検査の内容しか記載されていません。

参考までに、この求人が出されているタイミングで、同じ病院から生理検査部門で臨床検査技師の募集もされていました。大病院では、検体検査と生理検査で部門が分かれているのが一般的です。

図(イメージ図/生理検査と検体検査)

病院で検体検査のみの担当を希望するのであれば、規模の大きい病院を探す必要があります。

中小規模の病院で検体検査のみを担当する求人はまれ

一方で、中小規模の病院では、検体検査のみを担当する求人は非常に珍しいです。ほとんどの求人で、検体検査だけでなく、生理検査も担当することになります。

例えば、下に紹介する本田病院は、大阪府大阪市にある病床数100床の病院です。

本田病院の求人の仕事内容欄は、以下の通りです。主に検体検査を担当しますが、一部心電図などの検体検査以外も担当することが記載されています。

さきほど紹介した私が働いていた病院では、技師長の方針で、検体検査と生理検査で担当を分けていました。しかし実態は、外来の忙しさや病棟での緊急検査などに対応するために、それぞれの部門が協力し合いながら検査を行っていました。

元同僚で、検査センターから転職してきた人がいましたが、彼は就職してから生理検査の全く経験がありませんでした。そのため転職直後は、検体検査ばかりを行っていました。

しかし、それでは緊急の生理検査が入ったときに対応できる人がおらず、現場が円滑に回らなくなってきました。そこで、最初は心電図検査も行うようにし、最終的には腹部エコーも習得していました。

規模の小さい病院では、技師の人数が少ないので、部門ごとに分けることは難しいです。どうしても検体検査と生理検査の両方を担当せざるを得ません。

クリニック・診療所は採血・生理検査も担当する

最後に紹介するのは、クリニック・診療所の求人です。

クリニックでは検体検査だけを担当する求人は、まずないと考えてください。検体検査だけでなく、生理検査や採血も担当することになります。実際の求人例を2件紹介します。

1件目は、栃木県宇都宮市にあるトマト内科糖尿病高血圧甲状腺クリニックから出されている求人です。この求人では、採血経験必須と記載されています。

そして、この求人の仕事内容の欄は、以下の通りです。検体検査だけでなく、採血も担当します。

2件目の求人は、島根県出雲市にある須佐クリニックから出されている求人です。

この求人では、以下のように採血と生理検査も仕事内容に含まれています。

クリニック・診療所は、病院と比べて技師の数が圧倒的に少ないです。2人いれば多い方です。そのため、検体検査だけを実施するために技師を雇うことはありません。

私が働いたことがあるクリニックでは、検体検査と腹部エコーと心エコーを臨床検査技師が担当していました。

そのクリニックは技師が1人体制でした。私がエコーに連続で入っているときには、看護師が検体検査の補助をしてくれていました。

クリニック・診療所で働く場合は、他職種のスタッフと協力しながら検査を実施していく必要があります。

まとめ

ここでは、検体検査を担当する求人の特徴、就職先ごとの働き方の違いについて解説しました。

検体検査だけを担当したいのであれば、検査センターの求人を探せば確実に実現できます。汎用の項目から専門性の高い項目まで、あらゆる検体の検査を担当します。

医療機関であれば、大病院の求人を探さなければなりません。規模が小さい病院であれば、部門ごとに担当を分けることが難しいので、検体検査と生理検査の両方を担当することが一般的です。

クリニック・診療所では、検体検査だけを担当することはありません。採血や生理検査も仕事内容に含まれます。

あなたが「検体検査だけを担当したい」のか、「検体検査も生理検査も担当したい」のかによって、求人を選ぶようにしましょう。